脚を引き締めたくてスクワットを始めたのに、しゃがむたびに膝が痛む。フォーム動画をいくつ見ても、言っていることが少しずつ違って、何を直せばよいのか分からない——体験トレーニングで膝の話が出るとき、いちばん多いのがこの形です。
この記事では、痛む場所としゃがむ深さで、膝に起きていることが変わること、自分で確かめる3つのテスト、そして痛むあいだの代わりの種目をお伝えします。読み終えるころには、明日の1セットで何を変えるかが決まります。
目次
スクワットで膝が痛む仕組み
はじめに、しゃがんだときに膝の中で何が起きているかを整理させてください。ここが分かると、あとの表が読みやすくなります。
膝には関節が2つあります
膝はひとつの関節に見えますが、実際には2つの関節の組み合わせです。太ももの骨とすねの骨の間にある関節と、太ももの骨と膝のお皿(膝蓋骨・しつがいこつ)の間にある関節です。
スクワットで痛みが出やすいのは、多くの場合お皿の側の関節です。お皿は太ももの前の筋肉(大腿四頭筋・だいたいしとうきん・太ももの前を覆う大きな筋肉)の腱の中にあり、膝を曲げるほど太ももの骨に強く押しつけられます。しゃがむ動作は、この押しつけを体重をかけたまま繰り返す運動です。
深く曲げるほど圧は上がります
お皿にかかる圧は、膝を曲げる角度が深くなるほど大きくなります。立っているときはほとんどかからず、太ももが床と平行に近づくあたりで大きく増えます。
ですから、同じスクワットでも、どこまでしゃがむかで膝の負担はまったく変わります。「スクワットで膝が痛い」という訴えの中には、スクワットそのものではなく、今の膝には深すぎる範囲まで下ろしている、という方が多く含まれています。
フォームの問題だけではありません
一般的な解説の多くは、ここで「フォームが悪いからです」と結びます。ただ、評価をしていると、形は整っているのに痛む方が少なからずいらっしゃいます。
理由は、膝の上下にある足首と股関節です。足首が硬くて前に倒れない、股関節がうまく曲がらない。そうすると、足りない角度の分を膝が引き受けます。形を真似ても、動く範囲が足りなければ膝の負担は減りません。フォームで自分に直せる所と直せない所の境目は、筋トレのフォームで自分では見えない3か所で整理しています。
痛む場所と深さで分ける
ここがこの記事でいちばんお伝えしたい部分です。膝の痛みは、どこが痛むかで起きていることが分かれます。まず、指1本で痛む場所を指せるかどうか試してください。
痛む場所で分かれる5つ
| 痛む場所 | 起きやすいこと | 先に見る所 |
|---|---|---|
| お皿の周り・奥 | お皿と太ももの骨の間の圧が高い | しゃがむ深さ |
| お皿のすぐ上 | 太ももの前の筋肉の腱が強く引かれている | 下ろす速さと重さ |
| お皿のすぐ下 | お皿とすねをつなぐ腱に負担が集まっている | 切り返しの勢い |
| 膝の内側 | 膝がつま先より内側に入っている | 膝とつま先の向き |
| 膝の外側 | 太ももの外側の帯が張っている/つま先が外を向きすぎ | 足幅とつま先の角度 |
| 膝の裏 | 深くしゃがんだときに裏側が挟まっている | 一番下の深さ |
いちばん多いのは、お皿の周りです。次が内側です。内側が痛む方は、鏡の前でしゃがんだときに膝がつま先より内側へ入っていくことがほとんどです。膝の内側の少し下には、3本の腱がまとまって骨に付く場所(鵞足・がそく)があり、膝が内に入るたびにここが引っぱられます。女性は骨盤の幅の関係で、この向きになりやすい傾向があります。女性の身体に固有の前提は女性のパーソナルジム選びの7つの基準にまとめました。
外側の痛みは、太ももの外側を走る長い帯(腸脛靱帯・ちょうけいじんたい)が関わることがあります。O脚ぎみの方や、つま先を大きく外に開いてしゃがむ方に見られます。膝の裏は、深くしゃがんだときに太ももとふくらはぎの間で組織が挟まる感覚として出ることが多く、浅くすれば消えるかどうかが目安になります。
痛む深さも一緒に見ます
場所と同じくらい大事なのが、どの深さで痛むかです。
| 痛む深さ・時点 | 考えられること | 調整 |
|---|---|---|
| しゃがみ始め | 立った姿勢で既に膝が張っている | その日は脚の種目を減らす |
| 太ももが平行の手前 | お皿の圧が今の許容を超える角度 | 痛む手前で止める |
| 一番下 | 裏側が挟まる/足首が足りない | 深さを浅くする |
| 立ち上がる瞬間 | 切り返しの勢いが腱に集まる | 一番下で1秒止める |
| 翌日に残る | 量が回復を上回っている | 回数とセット数 |
たとえば「お皿の周りが、太ももが平行になる手前で痛む」なら、今の膝が受け止められる深さはそこまで、という意味です。深さを痛む手前で止めるだけで、同じ日に続けられる方が多くいらっしゃいます。
場所が指せない痛みは別に扱います
膝全体がぼんやり重い、場所が日によって変わる、という痛みもあります。この場合は動作の問題より、量や睡眠、その日の疲れが関わっていることが多くあります。
一方で、毎回同じ角度で、同じ一点が鋭く痛む場合は性質が違います。膝の中の同じ組織に繰り返し当たっている可能性があるためです。この場合はスクワットを続けず、整形外科で確認してもらってください。腰にも同時に痛みが出る方は、腰痛の原因と対策をあわせてご覧ください。
自分で確かめる3つのテスト
場所と深さが分かったら、次は原因が膝の上なのか下なのかを確かめます。どれも道具は要りません。
1つ目|壁で足首の曲がりを測る
壁に向かって立ち、片足のつま先を壁から少し離して置きます。かかとを床につけたまま膝を前に出し、膝が壁に触れるかを見ます。触れたら足を少し後ろへ下げ、触れなくなる手前の距離を測ります。
見るのは、距離そのものより左右差です。片側だけ明らかに短い場合、その脚は足首が前に倒れず、しゃがむときにかかとが浮くか、膝が内に入って角度を稼いでいることが多くあります。痛む側と短い側が一致していれば、まず足首から見ます。
2つ目|片脚で5回しゃがむ
鏡の前で片脚立ちになり、浅く5回しゃがみます。両脚では隠れていた癖が、片脚だとはっきり出ます。
見るのは2点です。膝がつま先より内側へ入っていかないか。反対側の骨盤が下がらないか。どちらかが出る場合、膝の問題に見えて、実際にはお尻の横の筋肉(中殿筋・ちゅうでんきん・骨盤を横から支える筋肉)の支えが足りないことが多くあります。骨盤の傾きが姿勢の癖として出ている方は、反り腰で先に見る3か所も参考になります。
3つ目|椅子で痛まない高さを探す
椅子に浅く腰かけ、手を使わずに立ち、またゆっくり座ります。痛まなければ、座面にクッションや雑誌を1冊ずつ重ねて低くしていきます。痛む場合は逆に、高くしていきます。
こうすると、今日の膝が痛まずに通れる深さが、座面の高さとして具体的に分かります。ここが明日からのスクワットの一番下になります。1〜2週間ごとに1段ずつ低くできれば、順調に進んでいるサインです。
理学療法士の視点|膝はしわ寄せを受ける関節
ここからは、臨床で膝の痛みを評価するときに実際に見ているものをお伝えします。
膝の上下を先に見ます
足首と股関節は、いろいろな方向へ動く関節です。一方、膝は主に曲げ伸ばしの一方向に動く関節です。上下の関節で動きが足りなくなると、膝は本来得意ではない方向(ねじれや内への倒れ込み)にまで動かされます。
ですから評価では、痛む膝そのものより先に、足首の曲がりと股関節の曲がりを測ります。膝が痛む方の多くで、どちらかに左右差が見つかります。長時間のデスクワークで股関節を曲げたまま固まっている方、ヒールの靴で足首が前に倒れにくくなっている方は、特にこの形になりやすい傾向があります。硬さがあるときに伸ばす場所の選び方は、ストレッチで伸ばす場所を決める3つの質問にまとめました。
「膝を前に出すな」の扱い方
「膝はつま先より前に出してはいけない」という指導はよく知られています。ただ、膝が前に出ないよう制限すると、膝の負担は下がる一方で、上体が大きく前に倒れ、股関節と腰の負担が大きく増えることが報告されています。
当店では、膝が前に出ること自体は問題にしていません。見ているのは、かかとが浮いていないか、膝とつま先の向きがそろっているか、の2点です。ただし、お皿の周りが痛む方には、痛みが落ち着くまでの間だけ膝の前への移動を小さくしてもらうことがあります。これは正しいフォームの話ではなく、今の痛みに合わせた一時的な調整です。腰の側で同じことが起きている方は、腹筋で腰が痛いときの4つの原因でも仕組みを解説しています。
筋力は「止める力」を見ます
太ももの前の筋肉は、しゃがむときにブレーキとして働きます。ここで見るのは持ち上げる力より、ゆっくり下ろせるかどうかです。下ろす途中でストンと落ちる方は、ブレーキが間に合わず、一番下の衝撃を膝の腱と関節が受け止めています。
この「止める力」は、回数を増やしても身につきにくい力です。3秒かけて下ろす、一番下で1秒止める、という条件をつけると、軽い負荷でも十分に鍛えられます。こうした評価の違いは、理学療法士のいるジムと普通のジムの違いとトレーナーがセッション中に見ている5つのことで整理しています。
痛むあいだの代わりの種目
膝が痛むあいだも、脚の運動をすべて止める必要はありません。考え方は「膝を深く曲げずに、お尻と太ももに負荷を入れる」です。
痛む場所ごとの置き換え
| 痛む場所 | 代わりに入れやすい種目 | 続けてよい条件 |
|---|---|---|
| お皿の周り・上下 | 仰向けでお尻を持ち上げる運動/壁に背をつけて浅い位置で止まる運動 | 膝の角度が浅いまま保てる |
| 膝の内側 | 横向きで膝を開く運動/低い台への踏み上がり | 膝がつま先の上から外れない |
| 膝の外側 | 片脚立ちで骨盤を水平に保つ運動 | 骨盤が傾かずに30秒保てる |
| 膝の裏 | 椅子の高さまでのスクワット | 一番下で挟まる感じがない |
壁に背をつけて浅い位置で止まる運動は、膝を動かさずに太ももの前へ力を入れられます。動かすと痛む時期でも、止まっている姿勢なら痛まない方は少なくありません。10〜30秒を数回から始めてください。
戻す順番
- 椅子の高さで痛まずに立ち座りできる:テスト3で決めた高さで10回
- 3秒かけて下ろせる:同じ高さで、下ろす速さを落として10回
- 座面を1段下げる:痛みが出なければ、1〜2週間ごとに1段ずつ
- 重さを持つのは最後:自分の体重で目標の深さまで通ってから
早く元の重さに戻したい方ほど、4から始めがちです。ですが、深さが決まらないまま重さを足すと、痛みが出る角度に重さが上乗せされるだけです。脂肪を落とす目的が主であれば、スクワットの重さはそもそも主役になりません。食事と運動の配分はリバウンドを繰り返さない5つの手順で扱っています。出産後に運動を再開する方は、種目の順番が変わりますので産後に種目別でいつから始めてよいかをご覧ください。
続けてよい痛み・やめる痛み
「少しでも痛んだら中止」とすると、膝に不安のある方はいつまでも運動を再開できません。リハビリの現場では、次のような目安を使って量を調整することがあります。
10段階で3まで、翌朝で判定
| 状態 | 判断 |
|---|---|
| 運動中の痛みが10段階で3以下で、翌朝は運動前と同じ | 同じ量で続けてよい |
| 運動中に4以上になる | 深さか重さを1段戻す |
| 翌朝、運動前より痛みやこわばりが強い | 次回は量を減らす |
| 痛みが回を追うごとに強くなっていく | スクワットを止めて相談 |
ポイントは、運動の直後ではなく翌朝で判定することです。直後は血流が増えて、痛みが軽く感じられることがあります。翌朝の階段の上り下りや、立ち上がりのときの感覚で比べてください。
やめるサインと受診のサイン
次のどれかが出た日は、その日のスクワットを中止してください。
- 膝の一点に、刺すような鋭い痛みが出た
- 回数を重ねるほど、痛みが強くなってきた
- しゃがんだ後、膝を伸ばすときに引っかかる感じがある
- 終わったあと、膝の周りが腫れぼったくなった
- 翌朝、階段を下りるときに痛みが残っている
あわせて、当店は医療機関ではありませんので、診断や治療は行えません。次のような場合は、運動やセルフケアより先に整形外科へご相談ください。
- 安静にしていても痛む、夜に痛みで目が覚める
- 膝が腫れている、熱を持っている
- 何かが挟まったように、膝が曲げ伸ばしできなくなる
- 体重をかけると膝がガクッと抜ける感じがある
- 転倒やひねった後から痛みが続いている
医療機関でのリハビリを終えたあとに運動を再開する場合の進め方は、病院のリハビリを終えた後の3つの選択肢にまとめています。手技と運動のどちらを先にするかで迷う場合は、整体とジムのどちらに通うべきかの判断軸が参考になります。膝に不安がある時期は、週に何回・どのくらいの間隔で通うかも負担を左右します。頻度の決め方は通い放題の損益分岐と週何回通うべきかの考え方、費用の見方はパーソナルジムの月額の目安と隠れコスト、評価のあるジムの見分け方はジムの4タイプと選び方をご覧ください。
まとめ
スクワットで膝が痛いとき、まず見るのは痛む場所と深さです。お皿の周りなら深さ、内側なら膝とつま先の向き、外側なら足幅とつま先の角度、裏なら一番下の深さ。そのうえで、壁で足首の左右差を測り、片脚で膝が内に入らないかを見て、椅子で痛まない高さを決めます。膝は上下の関節のしわ寄せを受ける関節ですので、痛む膝より先に足首と股関節を確かめてください。量の判断は、運動中の痛みが10段階で3以下か、翌朝に悪くなっていないかで行います。毎回同じ角度で鋭く痛む、腫れる、引っかかる場合は、運動を止めて受診してください。
武蔵浦和のジム・パーソナルジムLIMITED武蔵浦和店は、JR武蔵浦和駅から徒歩3分のジムです。さいたま市南区・中浦和・南浦和・北戸田・戸田市エリアから、デスクワーク中心の方や、通勤の階段で膝が気になり始めた方が通われています。トレーナーは全員が医療系国家資格「理学療法士」を持ち、加えて全米エクササイズ&スポーツトレーナー、JATIトレーニング指導者、PHIピラティスインストラクターなどの資格を持つ者が在籍しています。通い放題プランではトレーニング・整体・ボクササイズを追加料金なしで選べるため、同じ担当者が手技と運動の配分を決められます。ウェアのレンタルとウォーターサーバーがあり、キッズスペースもございます。営業時間は8:00〜22:00です。
自分の膝がどの深さまで耐えられるのかを一度見てもらいたい方は、60分の体験トレーニング(5,000円・税込)で足首・股関節の動きとスクワットのチェックを受けてみてください。ご予約は下のボタンのほか、公式LINEから24時間受け付けています。運動が初めての方も、まず椅子の高さから一緒に始めましょう。
よくある質問
スクワットで膝が痛いときは、休んだほうがよいですか?
痛みが出た深さと重さのスクワットは、その日は中止してください。ただし、脚を動かすこと全体を止める必要はないことが多くあります。痛みの出ない浅い範囲や、膝をあまり曲げない種目は続けられる方がほとんどです。判断の目安は、運動中の痛みが10段階で3以下にとどまり、翌朝に運動前より悪くなっていないことです。これを超えた日は量を減らします。安静にしていても痛む、膝が腫れて熱を持っている、引っかかって伸ばせない、体重をかけると膝がガクッと抜ける、という場合は運動を続けず、整形外科を受診してください。当店は医療機関ではありませんので、診断や治療は行えません。
膝はつま先より前に出さないほうがよいのですか?
一律に禁止する必要はありません。膝が前に出ないよう制限すると、膝の負担は下がる一方で、上体が大きく前に倒れて股関節と腰の負担が増えることが報告されています。膝が前に出ること自体より、かかとが床から浮いていないか、膝とつま先の向きがそろっているかのほうが大切です。ただし、お皿の周りが痛む方は、痛みが落ち着くまで一時的に膝の前への移動を小さくすると楽になることがあります。これは正しいフォームの話ではなく、今の痛みに合わせた一時的な調整です。
スクワットで膝が鳴るのは問題ですか?
痛みを伴わない音だけであれば、過度に心配しなくてよいことが多くあります。関節の中の気泡がはじける音や、腱が骨の出っ張りを越える音は、健康な膝でも起こるためです。一方で、音と同時に痛みが出る、膝が腫れてくる、何かが挟まったように動かなくなる、という場合は性質が違います。この場合は運動を中止し、整形外科で膝の中の状態を確認してもらってください。
