「立っているだけで腰が疲れる」「仰向けで寝ると腰が浮いて苦しい」。そんなときに反り腰という言葉にたどり着いた方は多いと思います。そして最初に始めるのが腹筋。ところが続けても腰の反りが変わらない、というご相談をよくいただきます。
これは努力が足りないからではありません。反り腰は、腰そのものが原因になっていないことが多いためです。この記事では、腰が反る理由、間違えない見分け方、腹筋より先に見る3か所をお伝えします。
なぜ腰が反るのか
反り腰の解説は「腹筋が弱いから」で終わることがほとんどです。しかし臨床で見ていると、腰が反っている方の多くは、腰以外の場所が動いていません。
腰は肩代わりしています
人が立って歩くとき、脚は身体の後ろへ送られます。この動きを股関節の伸展(しんてん・脚を後ろへ送る動き)といい、歩く終わりのところで必要になります。
ここが硬くて足りないと、身体は前に進めません。そこで足りない分を、すぐ上にある腰椎(ようつい・腰の背骨)が反ることで肩代わりします。腰は前後に反れる構造を持っているので、代わりに動けてしまうのです。
つまり腰は、原因側ではなく動きすぎている側です。腹筋を何回鍛えても、股関節が伸びないという事実は変わりません。だから戻ります。腰の痛みが気になる方は腰痛の原因と対策もあわせてご覧ください。
骨盤前傾と反り腰は別
反り腰は骨盤前傾(こつばんぜんけい・骨盤が前に傾くこと)と同じ意味で使われがちですが、両者はイコールではありません。
骨盤が前に傾いていても、お腹とお尻でその角度を支えられていれば、腰の一か所に負担は集まりません。逆に、骨盤はほとんど傾いていないのに、みぞおちの下だけが強く反っている方もいます。
「骨盤の角度」だけで判断すると、対処を間違えます。見るべきなのは角度ではなく、身体のどこで反りが起きているかです。
自分のタイプを見分ける
反り腰のセルフチェックとして広く紹介されているのが、壁立ちで腰のすきまを測る方法です。有用ですが、これだけで決めるのはおすすめしません。
手のひら1枚の落とし穴
壁にかかと・お尻・背中をつけて立ち、腰と壁のすきまに手のひらが何枚入るかを見る。よく知られた基準です。
ただしこのすきまは、身長・骨盤の幅・お尻の厚みによっても変わります。手のひらが2枚入っても平気な方もいれば、1枚でも夕方に腰が張る方もいます。枚数は目安であって、判定ではありません。
3つ組み合わせて読む
次の3つをセットで確認すると、手をつける場所が決まります。痛みが出る姿勢では行わないでください。
| チェック | 見え方 | 考えられること |
|---|---|---|
| 壁立ち | 腰のすきまに 手のひらが2枚以上 | 立位で腰が反る くせがある |
| 仰向けで 脚を伸ばす | 膝を立てると 腰が急に楽になる | 股関節の前が 腰を引いている |
| 片膝を 胸に抱える | 反対の太ももが 床から浮く | 股関節の前が 短くなっている |
※スマートフォンでは表を横にスクロールしてご覧いただけます。
3つ目は、私たちが評価でよく使う見方です。仰向けで片方の膝を両手で胸に抱えたとき、反対側の太ももが床から浮き上がるなら、その脚の付け根が短くなっているサインになります。
立ち姿も見てください
横から見て、みぞおちが前に押し出されていないかを確認します。肋骨(ろっこつ)の前側が開いて上を向いた状態です。
この形のままだと、あとで説明するとおりお腹の深い筋肉が働きにくくなります。背中が丸い方も同時に確認してください。丸い背中を無理に起こそうとして腰が反る例は非常に多く、猫背が戻るしくみと整える順番で詳しく解説しています。
放っておくと起きること
反り腰は見た目の話として語られがちですが、身体の側ではもっと具体的なことが起きています。
腰の一点に負担が集まる
腰を反った姿勢では、腰椎の後ろ側にある小さな関節どうしが近づきます。立ちっぱなしの家事や、上を向いての作業で腰が重くなり、前かがみになると楽になる。この出方をする方は少なくありません。
お腹が前に出て見える
骨盤が前に傾き、みぞおちが前へ出ると、体重が変わっていなくてもお腹が前に出て見えます。「体重は落ちたのにお腹だけ残る」という悩みの背景に、姿勢が関係していることがあります。
体重を落とす前に姿勢を見る価値はここにあります。体重の落とし方そのものはダイエットのリバウンドの原因と対策にまとめました。
太ももの前だけが張る
腰を反って立つと、太ももの前と背中の筋肉が働き続けます。一方でお尻の筋肉は休んだままになります。
「運動しても脚の前ばかり太くなる」「お尻に効いている感じがしない」。こうした感覚の裏側には、この配分の偏りがあります。
理学療法士の視点|3か所
ここがこの記事でいちばんお伝えしたい部分です。反り腰で最初に見るのは腹筋ではありません。次の3か所です。
1か所目|股関節の前
腸腰筋(ちょうようきん・太ももを持ち上げる、お腹の奥の筋肉)と大腿直筋(だいたいちょっきん・太ももの前にあり、骨盤にもついている筋肉)は、座っている間ずっと短い位置にあります。
デスクワークで1日8時間座れば、その姿勢が身体にとっての標準になります。すると立ち上がった瞬間から、骨盤は前へ引かれ続けます。腹筋はその力に一日中抵抗し続けることになり、鍛えても追いつきません。
2か所目|肋骨と呼吸
お腹の深い筋肉である腹横筋(ふくおうきん・お腹を取り巻くコルセットのような筋肉)は、単独では働きません。上の横隔膜(おうかくまく・肺の下にある呼吸の筋肉)と、下の骨盤底筋(こつばんていきん・骨盤の底でお腹を支える筋肉)と合わせて、ひとつの筒として力を出します。
肋骨が開いて上を向いたままだと、この筒の上下がずれます。ずれた状態では、腹横筋は力を出しにくくなります。
「お腹を凹ませてください」と言われてもできない方がいるのは、意識の問題ではありません。弱いのではなく、働ける位置にいないのです。息を長く吐いて肋骨が下りる感覚を先に作ると、同じ指示が急にできるようになる方がいます。ここは競合するセルフケア記事でもほとんど触れられていない部分です。
3か所目|足首と重心
その場でしゃがんだとき、かかとが床から浮きませんか。浮く場合は足首の動く範囲が狭く、立ったときの重心が前へ寄りやすくなります。
前に寄った重心は、どこかで釣り合わせる必要があります。その役目を腰の反りが引き受けます。ヒールが反り腰の原因とよく説明されますが、ヒールを履かない男性にも反り腰は多く見られます。共通しているのは靴の種類ではなく、重心が前にあり、それを腰で釣り合わせているという構造のほうです。
腹筋運動が強めることも
足を固定して行う上体起こしでは、腸腰筋が強く働きます。お腹よりも股関節の前を鍛える運動になり、反り腰を強める方向に進むことがあります。
運動中に腰が浮く、腰が痛む。これはお腹がその負荷に対応できていないサインです。負荷を下げるか、種目を変えてください。基本の考え方は筋トレ初心者がまずやるべきフォームの基本にまとめています。評価をせずに一律のメニューを渡すジムでは、この見極めができません。確かめ方は武蔵浦和でジムを選ぶポイントと理学療法士のいるジムとはをご覧ください。
自宅でできる4つの順番
ここまでの考え方を、家でできる形にしたものです。1日およそ10分。順番を入れ替えないでください。痛みが出る動きは行わないでください。
ステップ1|肋骨を下ろす
仰向けで両膝を立てます。鼻から4秒吸い、口から8秒かけて細く吐きます。吐き切る手前で、肋骨が下がりお腹の底に軽く力が入る感覚を探してください。5呼吸。ここが土台です。
ステップ2|付け根を伸ばす
片膝立ちになります。お尻を軽く締めて骨盤を後ろへ回したまま、前脚に体重を移します。後ろ脚の付け根が伸びる位置で20秒。左右2回ずつ。
コツは、腰を反って伸ばさないことです。腰で伸ばすと、いちばん伸ばしたい場所に届きません。
ステップ3|お尻で支える
仰向けで両膝を立て、息を吐きながらお尻を持ち上げます。上げる高さは、腰が反らない範囲までで十分です。10回を2セット。
太ももの前がつる、腰が張る。そうなったら上げすぎです。高さより、お尻に力が入っているかを優先してください。
ステップ4|立って保つ
壁に背中をつけて立ち、ステップ1の呼吸で肋骨を下ろしたまま30秒。慣れたら壁から離れて行います。1回を長くするより、1日3回に分けるほうが身につきます。
多くのセルフケアは、ここが抜けています。伸ばして終わりでは、伸ばした位置を保つ力が育ちません。
座り方と靴も見直す
1日8時間の姿勢を変えるほうが、10分の運動より影響は大きくなります。次の3点を確認してください。
- 坐骨(ざこつ・座るとお尻の下に当たる骨)の上に体重が乗っているか
- 胸を張りすぎて、背もたれから腰が離れていないか
- 靴のかかとが高すぎないか、底が片減りしていないか
浅く腰かけて背もたれに寄りかかると骨盤は寝ます。逆に、良い姿勢を意識しすぎて胸を張ると腰が反ります。どちらでもない、坐骨の真上に乗る位置を探してください。
変わらないときの見直し
3週間で変化がないとき
続けても手ごたえがない場合、たいてい次のどれかが起きています。
- 腹筋から始めている(呼吸と股関節が先)
- 股関節のストレッチを腰で反って行っている
- 保つ練習が入っていない
- 座り方・靴・立ち方が変わっていない
2つ目は自分では気づきにくい項目です。横から動画に撮ると分かる場合があります。ゆるめた直後だけ楽になり翌日に戻るときの考え方は、整体とジムの違いと使い分けで解説しています。
反り腰イコール腰痛ではない
ここは正直にお伝えします。腰の反りが強くても、痛みがまったくない方は大勢いらっしゃいます。逆に、反りが強くない方に腰の痛みが出ることもあります。
反りの大きさと痛みの強さは、必ずしも一致しません。ですから目的を「見た目を平らにすること」に置かないでください。立っていられる時間が伸びたか、夕方の腰の重さが減ったか。判断は生活の側に置くほうが、結果として続きます。
産後の反り腰について
妊娠中はお腹の重さで骨盤が前に引かれ、腹筋が長く引き伸ばされます。産後もその状態が残りやすく、反り腰として自覚されることがあります。
この時期は、お腹を強く締める運動より先に、呼吸とお尻の運動から始めるほうが安全です。腹直筋離開(ふくちょくきんりかい・お腹の中央が縦に離れた状態)が残っている場合もあるため、進め方は女性のパーソナルジム選びの基準を参考にしてください。
医療機関を受診すべきサイン
次にあてはまる場合は、運動より先に整形外科など医療機関へご相談ください。当店は医療機関ではないため、診断や治療は行えません。
- 安静にしていても続く強い痛みがある
- お尻や脚にしびれがある、力が入りにくい
- 歩くと脚がしびれ、前かがみで休むと楽になる
- 成長期のお子さまで、腰を反ると強く痛む
- 発熱や体重減少をともなう
まとめ
反り腰が変わらないのは、腹筋の回数が足りないからではありません。股関節の前が短く、肋骨が開き、重心が前に寄ったままで腹筋だけを鍛えているからです。順番は、①息を吐いて肋骨を下ろす ②脚の付け根を伸ばす ③お尻で骨盤を支える ④立って保つ。そして座り方と靴は先に直す。まずは仰向けで片膝を抱えて、反対の太ももが浮くかどうかを確かめてください。しびれや安静時の痛みなど受診すべきサインがある場合は、運動より先に医療機関へご相談ください。
武蔵浦和のパーソナルジムLIMITED武蔵浦和店は、JR武蔵浦和駅から徒歩3分のジムです。さいたま市南区・中浦和・南浦和・北戸田・戸田市エリアから、デスクワーク中心の方や子育て中の方が通われています。トレーナーは全員が理学療法士で、初回に姿勢と動作を評価し、その方に必要な順番を組み立てます。通い放題プランはトレーニングと整体を同じ月額で受けられるため、硬さをゆるめる日と支える力を作る日を分けられます(通い放題プランの使い方/パーソナルジムの料金相場と月額の目安)。肩や首のこりが同時にある方は肩こりの原因と解消法もご覧ください。
ウェアのレンタルとウォーターサーバーがあり、手ぶらで通えます。キッズスペースもあるため、お子様連れでもご利用いただけます。営業時間は8:00〜22:00です。
自分の反り腰がどこから来ているか分からないときは、60分の体験トレーニングで姿勢チェックを受けてみてください。予約は下のボタンのほか、公式LINEから24時間受け付けています。運動が初めての方も、いまの身体を知るところから始めましょう。
よくある質問
反り腰は腹筋を鍛えれば変わりますか?
腹筋を鍛えること自体は役に立ちますが、順番が逆になっている方が多くいらっしゃいます。股関節の前が短く縮んだままだと、立った瞬間から骨盤は前へ引かれ続けます。腹筋はその力に一日中抵抗し続けることになり、鍛えても追いつきません。また、肋骨が開いて上を向いたままだと、お腹の深い筋肉は力を出しにくい位置にあります。まず息を吐いて肋骨を下ろし、股関節の前の長さを取り戻す。そのうえで腹筋やお尻の運動を足すと、同じ運動でも手ごたえが変わる方が多くいらっしゃいます。
反り腰だと必ず腰痛になりますか?
そうとは限りません。腰の反りが強くても痛みがまったくない方は大勢いらっしゃいますし、反りが強くない方に腰の痛みが出ることもあります。腰の反りの大きさと痛みの強さは、必ずしも一致しません。ですから目的を「見た目を平らにすること」に置かないほうが、結果として続きます。立っていられる時間が伸びたか、夕方の腰の重さが減ったか、といった生活の変化で判断してください。安静にしていても続く痛みやしびれがある場合は、運動より先に整形外科などの医療機関へご相談ください。
ストレッチはどのくらい続ければいいですか?
変化の目安は3週間です。ただしストレッチだけでは戻りやすくなります。ストレッチで変わるのは動く範囲であって、その位置で身体を支える力ではないためです。伸ばした直後は骨盤が起きやすくなりますが、支える力が育っていなければ数時間から数日で元に戻ります。股関節の前を伸ばしたあとに、お尻で骨盤を支える運動と、立ったまま保つ練習を必ず足してください。3週間続けても手ごたえがない場合は、順番か、日中の座り方のどちらかが抜けている可能性があります。
