「気づくと背中が丸まっている」「写真に写った自分の姿勢に驚いた」——デスクワークの合間に、そう感じる方は少なくありません。ストレッチを試しても、数日で元どおり。これは意志が弱いからではありません。

猫背が戻るのには、身体の側にはっきりした理由があります。この記事では、猫背が戻るしくみ・自分のタイプの見分け方・整えるときの順番、そして机と椅子の高さまでをお伝えします。

猫背が戻るのはなぜか

猫背を直そうとするとき、多くの方が最初にするのは「胸を張る」ことです。ところがこれは、姿勢を変えているのではありません。一時的に力を入れているだけの状態です。力を抜けば、当然もとに戻ります。

「胸を張る」は力みです

胸を張ろうとすると、胸椎(きょうつい・背中側の背骨)ではなく腰椎(ようつい・腰の背骨)が反ることがよくあります。背中が硬いままなので、動く場所が腰へずれるのです。これを代償(だいしょう・別の場所が肩代わりすること)といいます。

この代償が続くと、猫背を直そうとしたのに腰だけが張る、という逆転が起きます。姿勢を意識した日ほど腰がだるいという方は、この状態です。腰の張りが気になる方は腰痛の原因と対策もあわせてご覧ください。

取れる姿勢と保てる姿勢は別

姿勢を指摘されて背筋を伸ばす。これは姿勢が「取れる」状態です。問題は、その姿勢を何分保てるかです。

姿勢の保持に必要なのは、大きな力ではありません。小さな力を長く出し続ける持久力です。持久力は数日のストレッチでは変わりません。だから翌週には、また丸い背中に戻ります。

評価のときに私たちが見ているのも、伸ばせるかどうかではありません。伸ばした姿勢が何分もつかです。ここが変わらない限り、姿勢は戻り続けます。

あなたの猫背はどのタイプか

猫背とひとまとめに呼ばれますが、崩れている場所は人によって違います。首から崩れている方に背中のストレッチだけを渡しても、変化は出にくくなります。

壁立ちテストの読み方

壁に、かかと・お尻・背中をつけて立ちます。このとき見るのは1か所ではありません。次の3か所を同時に確認してください。

  • 後頭部が、あごを上げずに自然に壁につくか
  • 腰と壁のすきまに、手のひらが何枚分入るか
  • 肩の後ろ(肩甲骨のあたり)が壁につくか、浮くか

多くの解説は「後頭部がつくかどうか」だけを判定に使います。しかし後頭部が届かない理由は、首だけにあるとは限りません。背中が丸いままなら、頭は構造上どうしても前へ出ます。3か所を組み合わせて読むことで、はじめて手をつける場所が決まります。

3つのタイプと変える場所

タイプ壁立ちでの見え方先に取り組む場所
背中型
(円背)
肩の後ろが浮き、
後頭部も届きにくい
胸椎を反らす動き
首型
(頭が前)
背中は比較的つくが、
あごを引くと後頭部が届く
深い首の筋と
目線の高さ
骨盤型
(骨盤後傾)
腰と壁のすきまが
手のひら1枚未満
座り方と股関節

※スマートフォンでは表を横にスクロールしてご覧いただけます。

判定に迷うときは、複数のタイプが混ざっていると考えて構いません。実際には混合型が最も多く見られます。その場合も進める順番は同じです。あとの章でお伝えします。

放っておくと起きること

猫背は見た目の問題として語られがちです。しかし身体の側では、もっと具体的なことが起きています。

肩が上がりきらなくなる

腕を上げる動きは、肩の関節だけで起きているのではありません。背中が反り、肩甲骨(けんこうこつ・背中にある三角形の骨)が回ることで、腕ははじめて真上まで上がります。

背中が丸いままだと、肩甲骨の土台が傾いたままになります。すると足りない分を肩の関節だけで補うことになり、肩の前側に負担が集まりやすくなります。四十肩と呼ばれる状態の背景に、この動きの制限が隠れていることは少なくありません。

呼吸が浅くなり首がこる

背中が丸まると肋骨が下がり、横隔膜(おうかくまく・肺の下にある呼吸の主役の筋肉)が働きにくくなります。すると首まわりの補助的な筋肉が、呼吸を手伝うようになります。

呼吸は1日およそ2万回くり返されます。そのたびに首の筋肉が働き続ければ、こりとして自覚されるのは自然なことです。首や肩のこりが続く方は、武蔵浦和で肩こりを改善する方法もご覧ください。

見た目の印象と気分

姿勢は、実年齢より上に見える・自信がなさそうに見えるといった印象にも影響します。加えて、丸まった姿勢のままでは深い呼吸がしにくくなります。姿勢を整える目的は、見た目だけではありません。

理学療法士の視点|順番

ここが、この記事でいちばんお伝えしたいところです。猫背は「背中を丸めている」問題ではありません。胸椎が伸びない、伸びた姿勢を保てない問題です。だから順番を守らないと戻ります。

なぜ胸椎から始めるのか

胸椎は肋骨がついているため、もともと動きの少ない部分です。ここが硬いまま「肩を後ろに引く」練習をしても、肩甲骨が乗っている土台は丸いままです。力を抜けば元に戻ります。

順番としては、まず背中を反らす方向の動きを作ります。丸まったまま固まった胸椎を置き去りにして、肩甲骨のトレーニングから入るのは、順番が逆です。

肩甲骨は寄せるより置く

肩甲骨は、背骨に直接くっついていません。肋骨の上に乗っているだけの骨です。乗っている土台のかたちが変われば、肩甲骨の位置も変わります。

「肩甲骨を寄せなさい」という指導が続かないのは、乗る場所を作らないまま、位置だけを直そうとしているからです。寄せるのではなく、置ける場所を先に作る。これが臨床でよく効く考え方です。

保てる時間を最後に伸ばす

動く範囲が出て、肩甲骨の位置が変わったら、最後にその姿勢を保つ持久力を作ります。ここで扱うのは重い負荷ではありません。軽い負荷を長く、あるいは日常のなかで回数を分けて行います。基本の姿勢の作り方は筋トレ初心者がまずやるべきことで解説しています。

評価をせずに一律のメニューを渡すと、この順番はかんたんに崩れます。ジムを選ぶときに評価の有無を確かめる理由は武蔵浦和でジムを選ぶポイントに、初回に何を見ているかは理学療法士のいるジムとはにまとめています。

自宅でできる5つの順番

ここまでの考え方を、家でできる形にしたものです。1日およそ10分、順番どおりに行ってください。痛みが出る動きは行わないでください。

ステップ1|胸椎を反らす

丸めたバスタオルを、背中の中央(肩甲骨の下あたり)に横向きで置き、仰向けになります。両手は頭の後ろへ。息を吐きながら、タオルの上で背中を反らせます。20秒を2回。腰が反って痛む場合は、両ひざを立ててください。

ステップ2|胸をゆるめる

壁の角や柱に手のひらを当て、身体を反対側へゆっくりひねります。胸の前が伸びる位置で20秒。左右2回ずつ。反動はつけません。デスクワークで縮みやすい小胸筋(しょうきょうきん・鎖骨の下にある小さな筋肉)をゆるめる目的です。

ステップ3|首の後ろを長く

あごを軽く引き、後頭部を天井方向へ引き上げます。あごを引きすぎて力むのは逆効果です。10秒を3回。座ったままできるので、仕事の合間に向いています。

ステップ4|肩甲骨を置く

立って両腕を軽く外へ開き、手のひらを前に向けます。肩を上げずに、鎖骨の下が広がる感覚を探します。10秒を3回。「寄せる」ではなく「置く」感覚で行ってください。

ステップ5|保つ練習を足す

座ったまま、ステップ3と4の姿勢を1分保ちます。慣れたら2分。1回を長くするより、1日に3〜4回へ分けるほうが続きます。ここが、多くのセルフケアで抜け落ちている部分です。

机と椅子は先に直す

姿勢を意識だけで保ち続けるのは、現実的ではありません。環境が姿勢を決めます。次の3点を確認してください。

  • モニターの上端が、目の高さと同じかやや下にあるか
  • ひじが約90度で、肩が上がらない机の高さか
  • 足の裏全体が床につくか(つかなければ足台を置く)

ノートパソコンだけで作業している場合は、台と外づけキーボードを足すだけで、首が前へ出る時間を減らせます。1日8時間の姿勢を変えるほうが、10分の運動より影響は大きくなります。

意志ではなく環境を先に変えるという考え方は、体重管理でも同じです。詳しくはダイエットのリバウンドの原因と対策で解説しています。

セルフケアで進まないとき

3週間で変化がないとき

続けても変化が感じられない場合、たいてい次のどれかが起きています。

  1. 順番が違う(肩甲骨や首から始めている)
  2. 反らす動きが胸椎ではなく腰で起きている
  3. 保つ練習が入っていない(伸ばすだけで終わっている)
  4. 机・椅子・スマホの位置が変わっていない

2つ目は自分では気づきにくい項目です。動いている様子を横から動画に撮ると、分かる場合があります。

直後だけ楽になるとき

施術の直後は軽いのに、翌日には戻る。これは、動く範囲は変わったものの、その姿勢を保つ力がまだ育っていない状態です。戻るまでの日数から足りないものを見分ける方法は、整体とジムの違いと使い分けで解説しています。

医療機関を受診すべきサイン

次にあてはまる場合は、運動より先に整形外科など医療機関へご相談ください。当店は医療機関ではないため、診断や治療は行えません。

  • 背中の丸みが短期間で強くなった
  • 動かさなくても続く強い痛みが、背中や腰にある
  • 手や腕にしびれがある、細かい動作がしにくい
  • 歩きにくい、足がもつれる
  • 発熱や体重減少をともなう

まとめ

猫背が戻るのは、意志が弱いからではありません。胸椎の動きを作らないまま、肩甲骨や首の位置だけを直そうとしていることが多いからです。順番は、①胸椎を反らす ②胸の前をゆるめる ③首を長くする ④肩甲骨を置き直す ⑤保つ時間を伸ばす。そして机と椅子は先に直す。まずは壁立ちで、自分がどのタイプかを確かめるところから始めてください。しびれや強い痛みなど受診すべきサインがある場合は、運動より先に医療機関へご相談ください。

武蔵浦和のパーソナルジムLIMITED武蔵浦和店は、JR武蔵浦和駅から徒歩3分のジムです。さいたま市南区・中浦和・南浦和・北戸田・戸田市エリアから、デスクワーク中心の方や子育て中の方が通われています。トレーナーは全員が理学療法士で、初回に姿勢と動作を評価してから、その方に必要な順番を組み立てます。通い放題プランはトレーニングと整体を同じ月額で受けられるため、硬さをゆるめる日と保つ力を作る日を分けられます(通い放題プランの使い方)。女性の身体の変化に合わせた進め方は女性のパーソナルジム選びの基準にまとめました。

ウェアのレンタルとウォーターサーバーがあり、手ぶらで通えます。キッズスペースもあるため、お子様連れでもご利用いただけます。営業時間は8:00〜22:00です。

自分の猫背がどのタイプか分からないときは、60分の体験トレーニングで姿勢チェックを受けてみてください。予約は下のボタンのほか、公式LINEから24時間受け付けています。運動が初めての方も、いまの身体を知るところから始めましょう。

よくある質問

大人でも猫背は変わりますか?

変わる余地は十分にあります。ただし変わりやすさは、猫背の成り立ちによって違います。長時間の座り方や筋肉の使い方のかたよりから起きている機能的な猫背であれば、動く範囲と保つ力を順番に作ることで、姿勢を保ちやすくなる方が多くいらっしゃいます。一方、背骨そのものの変形が進んでいる場合は、変えられる範囲が限られます。その見分けには画像検査が必要で、医療機関の領域です。当店は医療機関ではないため診断は行えません。背中の丸みが数か月で急に強くなった場合は、まず整形外科の受診をおすすめします。

ストレッチだけで整いますか?

ストレッチだけでは戻りやすくなります。理由は、ストレッチで変わるのは動く範囲であって、その姿勢を保つ力ではないためです。硬さがゆるんだ直後は良い姿勢を取りやすくなりますが、保つ力が育っていなければ、数時間から数日で元の位置に戻ります。動く範囲を作ったあとに、軽い負荷で保つ練習を足してください。反らす、ゆるめる、置き直す、保つ。この順番で進めると、変化が続きやすくなります。

姿勢矯正ベルトは使うべき?

補助として使う分には構いませんが、それだけに頼ることはおすすめしていません。ベルトは外からかたちを作る道具で、自分で姿勢を保つ力を育てるものではないためです。長時間つけ続けると、本来働いてほしい筋肉が働かないまま一日を過ごすことになります。使うのであれば、姿勢を思い出すきっかけとして短い時間にとどめ、並行して保つ練習を行ってください。痛みやしびれがある場合は、器具を使う前に医療機関へご相談ください。

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