腹筋運動を始めたら、お腹より先に首が疲れてしまう。翌朝はお腹ではなく、首の前だけが筋肉痛になっている——体験トレーニングでお腹の種目を行うと、運動を久しぶりに再開した方やデスクワーク中心の方から、とてもよく伺う悩みです。

この記事では、首のどこが痛むかによって原因が変わること、種目ごとの首への負担、頭を首で持ち上げない丸め方、受診したほうがよいサインをお伝えします。読み終えるころには、次の1セットで何を変えるかが決まります。

腹筋で首が痛む仕組み

はじめに、腹筋運動のあいだ首に何が起きているかを整理させてください。ここが分かると、あとの表と丸め方が読みやすくなります。

最初に持ち上げるのは頭

仰向けから上体を起こす腹筋運動では、お腹が働き始めるより先に、頭を床から持ち上げる必要があります。大人の頭の重さは5kg前後で、体重のおよそ1割です。

しかも仰向けでは、頭は首の先にぶら下がった重りのような位置にあります。首は、お腹の運動のあいだずっと、この重さを支え続けています。10回の腹筋なら、首は10回ぶん頭を持ち上げ、そのあいだ一度も休めていません。

頭から起きると首が先に疲れる

本来の起き上がり方は、あごを軽く引いてうなずき、そのあと首、胸の順に背骨が一つずつ丸まっていく形です。ところが首が痛む方の多くは、頭を前へ突き出すように持ち上げ、胸がほとんど丸まらないまま起き上がろうとしています。

この形では、お腹が働く前に首が限界を迎えます。お腹に効かないので回数を増やし、さらに首が疲れる、という流れになりやすいのです。

原因は3つにまとまります

臨床で腹筋運動の首の痛みを見ていると、原因はおおむね次の3つに分かれます。

  • 頭の支え方:首の奥ではなく、首の前の表面の筋肉で頭を持ち上げている
  • 手の使い方:手で頭を引っぱり、首の後ろを引き伸ばしている
  • 胸の丸まりにくさ:背中の上のほうが硬く、頭だけが先に起き上がっている

一般的な解説の多くは「首に力が入っている」「手で引っぱらない」で話を終えます。ただ、手を離しても首が痛む方は少なくありません。その場合は、1つ目か3つ目が残っています。

痛む場所で分ける

ここがこの記事でいちばんお伝えしたい部分です。「首が痛い」といっても、首の前・あごの下・首の後ろ・首の付け根では、起きていることがまったく違います。指で場所を指して確かめてください。

場所と局面の早見表

痛む場所痛みやすい局面起きやすいこと先に見る所
首の前(耳の下から鎖骨へ斜め)回数の後半・上で止めたとき表面の筋肉が頭を支え続けているあごが前へ出ていないか
あごの下・のど起き上がり始めあごを強く引きすぎて押しつぶしているあごと胸の間の空き
首の後ろ起き上がる途中手で頭を引っぱり、首の後ろが伸ばされる手の置き方
首の付け根から肩回数の後半肩をすくめて起き上がっている肩と耳の距離
後頭部・頭が重い運動中から直後息を止めていきんでいる吐きながら起きているか
翌日の首の前の筋肉痛翌日〜2日後頭を支えた回数が今の首には多い1セットの回数

いちばん多いのは首の前です。耳の後ろから鎖骨へ斜めに走る筋肉(胸鎖乳突筋・きょうさにゅうとつきん・首を横に向けたときに浮き出る太い筋肉)が、頭を持ち上げ続けて疲れています。この筋肉は強い力を出せる一方で、長く頭を支える仕事には向いていません。

次に多いのが首の後ろです。手を頭の後ろで組み、起き上がるたびに頭を前へ引いていると、首の後ろの筋肉と靭帯が引き伸ばされます。腹筋の回数を数えながら手に力が入ってくる方は、ここを疑ってください。

あごは引きすぎても痛む

「あごを引いて」と言われて、のどを押しつぶすほど強く引いている方もいます。あごの下やのどが痛む、声が出しにくい感じがする場合は、引きすぎのサインです。

目安は、あごと胸の間に、こぶしが1つ入るくらいの空きを残すことです。目線は天井と膝の間、ちょうど太ももあたりに置きます。おへそをのぞき込もうとすると、あごが胸につくまで引いてしまいがちです。

種目別の首への負担

腹筋の種目によって、首にかかる負担は大きく違います。頭を床から離す時間が長い種目ほど、首の負担は大きくなります。首が痛む時期は、表の下のほうの種目を中心に組み立ててください。

頭を浮かせる時間で並べる

種目頭の位置首の負担首が痛む時期の扱い
上体起こし(シットアップ)全回数で起こす大きいいったん外す
クランチ(肩甲骨まで)浮かせたまま中〜大タオルで頭を預けて行う
V字腹筋・自転車こぎ動作浮かせたまま大きいいったん外す
レッグレイズ床につけたまま小さい腰が反らない範囲で行う
リバースクランチ床につけたまま小さい中心にしてよい
デッドバグ床につけたままほぼない中心にしてよい
ドローイン床につけたままほぼない最初の1種目に
プランクうつ伏せで保つ小〜中頭が下がらない時間まで

首が痛いからといって、お腹の運動を全部やめる必要はありません。頭を床につけたまま行える種目に置き換えれば、多くの方は首を休ませながらお腹を使えます。脚を動かす種目では、今度は腰が反りやすくなります。腰に不安がある方は、腹筋の種目別に腰が反りやすい場面も確認してください。

プランクでも首は疲れる

プランクは頭を床から離して保つ種目です。お腹が疲れてくると、頭が下がって首の後ろが伸ばされるか、逆に前を見ようとして首の後ろが縮みます。耳・肩・腰が一直線のまま保てる時間までで止めてください。肘をついたプランクで手首の負担を減らす方法は、腕立て伏せで手首が痛いときの手のつき方で触れています。

首に頼らない丸め方

場所が分かったら、次は起き上がり方を変えます。どれも道具なしか、タオル1本でその日から試せます。

うなずいてから胸を丸める

起き上がる前に、頭を床につけたまま小さくうなずき、後頭部を床の上で少し滑らせます。首の後ろが軽く伸びる感じがあれば十分です。この「うなずき」を保ったまま、みぞおちをおへそへ近づけるように胸を丸めていきます。

起き上がる順番は、頭・首・胸です。戻るときは逆に、胸・首・頭の順に床へ下ろします。最後に頭が床につくように戻すと、首の奥の筋肉が最後まで働き続けます。

手は4通りから選ぶ

手の置き方首への影響向いている人
胸の前で腕を組む手で引っぱれない首の後ろが痛む方の最初の形
こめかみに指を添える頭の向きだけ補助できる手に力が入るクセを抜きたい方
タオルを首の後ろに通す頭の重さを預けられる首の前が痛む方
頭の後ろで組む引っぱると首の後ろに負担首が痛まなくなってから

タオルを使う方法では、バスタオルを細長くたたんで首の後ろから後頭部に当て、両端を持ちます。ここで大切なのは、タオルで頭を引き上げないことです。頭の重さをタオルに預け、お腹の力で胸を丸めます。首の前が痛む方は、この形にするだけで首が楽になることが多くあります。

上まで起きなくてよい

首が痛む時期は、肩甲骨の下の端が床から離れるところまでで十分です。そこから先まで起き上がると、お腹ではなく股関節の筋肉で上体を引き上げる動きに変わり、腰の負担も増えます。「どこまで起きたか」ではなく「胸が丸まったか」で1回を数えてください。

息は、起き上がりながら吐きます。息を止めていきむと、後頭部が重くなる、頭に血がのぼる感じが出やすくなります。

理学療法士の視点|首は奥の筋肉で支える

ここからは、臨床で首の痛みを評価するときに実際に見ているものをお伝えします。

首の前には2種類の筋肉がある

首の前には、表面の筋肉と、首の骨のすぐ前に張りつくように並ぶ奥の筋肉があります。奥の筋肉(深頸屈筋・しんけいくっきん・頭を小さくうなずかせ、首の骨を内側から支える筋肉)は、大きな力は出しませんが、長い時間、頭の位置を保つのが得意です。

うなずいてから起き上がると、この奥の筋肉が先に働き、表面の筋肉はその補助に回ります。うなずかずに頭を突き出して起きると、奥の筋肉はほとんど働かず、表面の筋肉だけで頭を支えることになります。首の前が痛む方の多くは、奥の筋肉が働く前に表面の筋肉が仕事を始めています。

頭を浮かせて保てる時間

奥の筋肉が働いているかは、簡単な確認で分かります。仰向けで膝を立て、小さくうなずいたまま、頭を床から1〜2cmだけ浮かせて保ってください。

あごが上がってくる、首の前の筋肉が浮き出てくる、頭が震える、のどれかが出たところで終わりです。そこまでの秒数を数えます。当店では、10秒保てない方には、頭を起こす腹筋より先に、うなずいて頭を浮かせる練習から始めてもらっています。秒数は人と比べるものではありません。1〜2週間ごとに同じ方法で測り、自分の中での変化を見てください。

胸が丸まらないと頭が先に出る

長時間のデスクワークやスマートフォンの操作では、頭が肩より前へ出て、背中の上のほう(胸椎・きょうつい・肋骨がついている背骨)が丸まったまま固まりやすくなります。一見すると丸まっているのに、自分の筋肉で丸めて、また伸ばす動きは少なくなっています。

この状態で腹筋をすると、胸が動かないぶん、頭と首だけで起き上がろうとします。首の痛みが繰り返す方は、腹筋の前に、胸を丸めて伸ばす運動を入れるだけで首が楽になることがあります。胸を開いて背中を動かす準備にはストレッチポールが効果ないと感じる理由と使い方が、頭が前へ出た姿勢の整え方には猫背改善の5つの順番が参考になります。デスクワークで首から肩がこる方は、肩こりの原因とセルフケアもあわせてご覧ください。

フォームのうち自分で見られる所と見られない所の境目は、筋トレのフォームで自分では見えない3か所で整理しています。評価の違いについては、理学療法士のいるジムと普通のジムの違いにまとめました。

やめる日と受診する日

「少しでも痛んだら中止」とすると、首に不安のある方はいつまでもお腹の運動を再開できません。量の判断は、運動中は10段階で3まで・翌朝で判定する目安を首にもそのまま使えます。そのうえで、次のサインは別に扱ってください。

その日はやめるサイン

次のどれかが出た日は、その日の腹筋運動を中止してください。

  • 首の一点に、刺すような鋭い痛みが出た
  • 回数を重ねるほど、首の痛みが強くなってきた
  • 終わったあと、首を左右に回すと痛む
  • 運動中から頭痛や頭の重さが出てきた
  • 翌朝、起き上がるときに首の痛みが残っている

受診をすすめるサイン

当店は医療機関ではありませんので、診断や治療は行えません。次のような場合は、運動やセルフケアより先に整形外科へご相談ください。

  • 腕や手にしびれがある、力が入りにくい
  • 首を動かすと、肩から腕へ痛みやしびれが走る
  • めまい、吐き気、ふらつきを伴う
  • 運動していなくても痛む、夜に痛みで目が覚める
  • 2週間ほど運動を控えても痛みが変わらない

また、運動中に突然、これまでにない激しい頭痛が出た場合は、首の筋肉の問題ではない可能性があります。様子を見ずに、すぐ救急を受診してください。交通事故やむち打ちの経験がある方、首の手術を受けたことがある方は、首を起こす腹筋を始める前に主治医へ確認してください。医療機関でのリハビリを終えたあとに運動を再開する場合の進め方は、病院のリハビリを終えた後の3つの選択肢にまとめています。

まとめ

腹筋で首が痛いとき、原因はおおむね頭の支え方・手の使い方・胸の丸まりにくさの3つです。まず痛む場所を確かめ、首の前ならあごの位置とうなずき、首の後ろなら手の置き方を先に見直します。起き上がる前に小さくうなずき、頭・首・胸の順に丸めて、戻るときは最後に頭を床へ下ろします。首が痛む時期は、頭を床につけたまま行える種目を中心にしてください。しびれやめまいがある、運動していなくても痛む場合は、運動を止めて受診してください。

武蔵浦和のジム・パーソナルジムLIMITED武蔵浦和店は、JR武蔵浦和駅から徒歩3分のジムです。さいたま市南区・中浦和・南浦和・北戸田・戸田市エリアから、デスクワークで首や肩に負担を抱えやすい方や、家での腹筋運動を見直したい方が通われています。トレーナーは全員が医療系国家資格「理学療法士」を持ち、加えて全米エクササイズ&スポーツトレーナー、JATIトレーニング指導者、PHIピラティスインストラクターなどの資格を持つ者が在籍しています。通い放題プランではトレーニング・整体・ボクササイズを追加料金なしで選べるため、同じ担当者が手技と運動の配分を決められます。ウェアのレンタルとウォーターサーバーがあり、キッズスペースもございます。営業時間は8:00〜22:00です。

自分の首がどの起き上がり方なら痛まないのかを一度見てもらいたい方は、60分の体験トレーニング(5,000円・税込)で頭の支え方と腹筋のフォームのチェックを受けてみてください。ご予約は下のボタンのほか、公式LINEから24時間受け付けています。運動が初めての方も、うなずく練習から一緒に始めましょう。

よくある質問

腹筋をすると首が痛いのは、腹筋が弱いからですか?

お腹の力だけの問題ではないことが多くあります。腹筋運動では、まず頭を床から持ち上げる必要があり、その役目は首の奥にある筋肉が担います。この筋肉が働きにくいと、首の前の表面にある筋肉が代わりに頭を支え続け、首の前が痛くなります。また、デスクワークで背中の上のほうが丸まりにくくなっていると、胸が丸まらずに頭だけが先に起き上がります。お腹を鍛える回数を増やす前に、頭を軽くうなずかせてから起き上がる練習と、胸を丸める練習から始めてください。

腹筋のときは、手を頭の後ろで組んだほうがよいですか?

手を頭の後ろで組むこと自体は問題ありません。ただし、手で頭を引っぱって起き上がると、首の後ろが引き伸ばされ、首の付け根が痛む原因になります。首の痛みが出ている時期は、手を胸の前で組む、こめかみに軽く添える、首の後ろにタオルを通して両端を持つ、のいずれかに変えてください。タオルを使う場合も、タオルで頭を引き上げるのではなく、頭の重さをタオルに預けるだけにします。

腹筋で首が痛いときは、お腹の運動を休んだほうがよいですか?

首が痛む種目はその日は中止してください。ただし、お腹の運動をすべて止める必要はないことが多くあります。頭を床につけたまま行えるドローインやデッドバグ、脚を動かすリバースクランチに切り替えれば、首に負担をかけずにお腹を使えます。腕や手にしびれが出る、首を動かすと腕に響く、めまいや吐き気がある、運動していなくても首が痛む場合は、運動を続けず整形外科を受診してください。突然の激しい頭痛が出た場合はすぐに救急を受診してください。当店は医療機関ではありませんので、診断や治療は行えません。

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